こんにちは、Eたろうです。
この記事で紹介する教材は『英語のハノン』です。
「スピーキングのためのやりなおし英文法スーパードリル」というサブタイトルのとおり、学校で習った英文法を実際の会話で使えるレベルまで引き上げるのが本書の狙いです。
SNSでも話題になり、ベストセラーとなった本書。
私が担当している受講生様にもよくオススメしますし、私自身「初級〜上級」まで取り組んだ経験があり、その絶大な効果をよく理解しています。
本記事を読んでいただき、『英語のハノン』の正しい進め方を知り、ハノンの効果を、最大効率であなたのものにしてください。
『英語のハノン』は初級、中級、上級、フレーズ編の計4冊が発行されています。本記事では、初級、中級、上級の3冊について解説します。
このブログで紹介する教材は、私が自分の担当する受講生に実際に使っていただいているものばかりです。
実際に使ってわかった「教材の特徴」や「こんな人に向いている」というリアルな情報をお伝えします。
この記事を読むことで、教材の概要や使い方を理解し、正しく最短な方法で学習を進めていくことができるようになるでしょう。
『英語のハノン』基本情報
タイトル | 英語のハノン(初級/中級/上級/フレーズ編) |
出版社 | 筑摩書房 |
著者 | 横山雅彦/中村佐知子 |
発行日 | 2021年4月5日(初級の第一冊発行日) |
総ページ数 | 272ページ(初級)、216ページ(中級)、264ページ(上級) |
学習科目 | スピーキング、英文法 |
難易度 | 初級者〜上級者 |
音声取得方法 | 公式サイトから音声ダウンロード可能 |
音声について | スロー音声とナチュラル音声の2種類が収録されている。 (女性ナレーターと男性ナレーターが交互に移り変わる) |
『英語のハノン』とは
『英語のハノン』の「ハノン」というタイトルは、ピアノの教本から取っています。
ピアノを自由自在に弾けるようになるためには、血の滲むような粘り強い練習が必要なことが想像できますよね。
それと同様、英語においても、英文法を使いこなして自在に会話を組み立てていくためには、粘り強い練習が必要不可欠です。
英語のハノンは、そんな練習ができるドリルであり、知識としての英文法を使える英文法に変えてくれるテキストです。
簡単ではありませんが、根気よく継続すれば、ハノンで練習した文法が会話の中できちんと運用できるようになります。
実際に会話で使える「能動的」な英文法の知識と、ただ知っているだけの「受動的」な知識。
— Eたろう (@etaroenglish) November 23, 2023
この割合を考えたことはありますか?
能動的な知識は、受動的な知識の10分の1程度とのこと!
(by英語のハノン)
これの解消のために大切なのが「パターンプラクティス」
英語のハノンなどでできる学習です
『英語のハノン』とは、あなたに眠っている受動的な英文法の知識を、能動的な知識に変えてくれるドリルと言えるでしょう。
『英語のハノン』構成
初級→中級→上級の順番で、段階的に文法が高度になっていきます。
特別な事情がない限り、上級者であっても初級から順番に取り組んでいくのがオススメです。
基本的な日常会話であれば、「初級」だけでも十分ですが、ビジネスで英語を使っている方などは、中級以上も視野に入れながら進めてみましょう。
- Unit0 基礎の確認(品詞/英音法)
- 第1部(Unit1〜Unit5):第1〜5文型
- 第2部(Unit6〜Unit 12):疑問詞、受動態、現在完了形、命令文など
- 第3部(Unit 13〜Unit 19):不定詞(名詞用法、形容詞用法、副詞用法)、分詞(形容詞用法、分子構文)
各Unitに10個前後のドリルが収録されています。
各ドリルには5つの練習用フレーズが収録されており、すべてのドリルを「閉本」でクリアすることがこのテキストの最終目標です。
ドリルの前には、丁寧な文法解説(上の図のオレンジ)がついているので、迷わず納得してドリルに取り組むことができるでしょう。
教材の特徴
文法の説明が丁寧
『英語のハノン』は「スピーキングのための“やりなおし英文法”スーパードリル」と銘打っています。
このタイトルのとおり、英文法の復習をしながら、同時にドリルでの練習をこなしていくことができます。
この説明が非常に丁寧なので、英語学習から離れていた方が、文法を学び直すにはもってこいだと感じます。
なお、初級〜上級まで、ハノンが設定したところの「縦軸」と「横軸」に沿って、進んでいきます。
(英語の基本的構造に関わるもので5文型に集約) | 縦軸横軸 (すべての文型に共通する文法) |
---|---|
受動態 準動詞(不定詞、動名詞、分詞) 接続詞 関係詞 | 時制 否定文・疑問文 助動詞 比較 仮定法 強調・倒置 |
Unitごとのメインテーマは、「縦軸」に関わるもの。
縦軸の文法事項に、「横軸」を交差させながら練習するのが「ドリル」です。
例えば、Unit.1であれば、「縦軸」で「第1文型」をテーマにしながらも、「横軸」で「時制や否定文・疑問文など」をドリルで練習していきます。
とにかく多くの練習量をこなせる
そして、文法を学んだ後には、ドリルをとおして、学んだ内容を口に出して練習することができます。
各ドリルにつき、5つの練習用フレーズが収録されており、様々な角度からその文法をスピーキングに活かす練習をできます。
「5つ」と聞くと、どのような印象を受けるでしょうか?
やってみるとわかりますが、なかなかの量です。
1つのUnitにドリルが10個収録されている場合であれば、1Unitで50個のフレーズを練習することができます。
すべてのフレーズを、音声ポーズ間に発話できるようになることが、この教材の最終目標です。
ハードではありますが、練習量が大切な英語学習において、非常に効果的です。
たまに、レベルの高い単語も出題されますので、語彙力アップにも貢献してくれるでしょう。
リスニングの練習にもなる
『英語のハノン』は、男女のネイティブスピーカーによって音声が吹き込まれており、ドリルごとに男女交互に音声が流れます。
「ナチュラル音声」の聞き取りは、リスニングのトレーニングに効果的です。
初級については、「スロー音声」も収録されているので、難しいうちはスローでじっくり取り組んでみましょう!
なお、音声はアメリカ英語で収録されています。
ただ、初級については、イギリス英語の音声も追加されました。
有料ですが、興味のある方はこちらからダウンロードできます。
『英語のハノン』の効果的な進め方
英語のハノンの進め方は、テキストで丁寧に解説されています。
その使い方に沿って進めるのが王道であり、もっとも効果的な学習方法です。
テキストで紹介されている進め方と、私が思うさらに効果的な進め方をご紹介します。
テキストで紹介されている進め方
練習はまず「開本」で行い、開本でスラスラ言えるようになってから「閉本」での練習に移行する。
開本:テキストを見ながら、音声に合わせて練習する。
閉本:テキストを閉じて、音声だけを頼りに練習する。
①フレーズをリピート(2回)
②音声指示に従って、フレーズを変換
③変換したフレーズをリピート(2回)
①〜③について、すべて音声のポーズ間で完璧に言えるようになったらクリア。
初級については、スロースピードとナチュラルスピードの2種類の音声が収録されています。
慣れないうちは、スローでOKですが、最終的にはナチュラルスピードクリアを目指しましょう。
特にフレーズが長くなってくると、ナチュラルスピードのクリアには苦労しますが、それができて初めて実践で使える英語力が身に付いたと言えます。
私のオススメの進め方
基本はテキストで紹介されているやり方と同じですが、2点ほど追加して取り組むことで、さらにハノンの効果を高めることができます!
①初めて音声を聞くときに、テキストを見ないで聞き取りに挑戦してみる。
英語のハノンのナチュラル音声は、文字通り「ナチュラル」に、ナレーターさんが普段話すのと同じ話し方で吹き込まれています。
英語特有の音声変化やリズムも組み込まれているので、すばらしいリスニング教材になります。
いきなりテキストを見てしまうと、リスニングの練習になりませんので、ぜひ最初はテキストを見ないで聞き取りに挑戦してみましょう。
短いセンテンスですので、ディクテーション(英語の書き取り)をしてみるのもオススメです。
なお、英語特有の「英音法」については、初級のUnit0で紹介されているので、知識のない方はあらかじめ練習しておくと良いでしょう。
②音声に合わせてシンクロ発話を入れる。
英語において、発音以上に大切なのが「リズム」です。
練習するときには、音声のリズムにあわせて発話してあげましょう。
リズムの練習に有効なのが、「シンクロ発話」です。
※シンクロ発話:音声とまったく同時に同じセンテンスを声に出すこと。
音声ポーズ間にリピートするのに加えて、音声に合わせてシンクロ発話を取りれてあげると、さらに有効です。
「リピート→シンクロ発話→リピート→・・・」という流れで練習をすると、倍の量練習することができますね。
なかなかハードですが、体力に余裕があるときだけでも挑戦してみましょう!
「シャドーイングのやり方」でいう「シンクロリーディング」のテキスト見ない版というイメージです。
ドリルに取り組むにあたってのコツ
英語のハノンは、決して簡単なテキストではありません。
初級から難易度は高いので、特に長文のフレーズを繰り返すときや、馴染みのない文法項目を学習するときには、いくつかのコツを意識してみましょう。
- コツ①:意味を感じながら口に出す。
-
特にフレーズが長くなってくる中級以降は、変換して発話する以前に、「リピートすること」が高いハードルになってきます。
言えたとしても、音声のポーズ間に言い切れず、モヤモヤしてしまうというのは、ハノン学習者全員が経験する試練です。
そんなときには、フレーズの意味をきちんと考えてみましょう。
そのフレーズを自分が誰かに向けて話しているイメージを持って、フレーズの意味をイメージしながら発話することが大切です。
それだけで驚くほど、リピートがしやすくなるのです。
実際、「意味を考えてみてください」と伝えただけで、明らかに反応速度が速まった受講生さまもいらっしゃいました。
Eたろう英語のハノンのドリルを進めていると、つい”作業”のような感覚になり、聞こえてきた音声を機械的に反復するのが目的になってしまう人がいるので気をつけましょう!
- コツ②:音をチャンク(塊)でとらえる意識を持つ。
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ドリルのレベルが上がるほど、リピーティングの難易度は上がっていきます。
そんなときには、「音をチャンク(塊)でとらえる」意識を強く持ちましょう。
この意識は、ハノンの学習のみならず、英語を学ぶうえで非常に大切です。
音をチャンクでとらえる意識を持つと、英語の音声変化にも慣れることができ、リスニング能力も向上します。
- コツ③:苦手なフレーズを繰り返し練習する。
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1つのドリルには5つのフレーズが収録されています。
取り組んでいると、「5つのフレーズの中でも4番目が苦手」など、何度やっても苦戦するフレーズに出会うことがあります。
そんなときは、4番目のフレーズだけを繰り返し練習してみましょう。
1〜5番目と順番に取り組むよりも、一つに集中して取り組んだ方が、効率はいいです。
各フレーズごとに音声ファイルが分かれていないので、苦手なフレーズを繰り返し練習できる音声再生アプリを使用するのがオススメです。
個人的には、Audipoというアプリをオススメしています。
一つの音声ファイルの中で、該当区間を繰り返し再生することが可能です。
また、音声の途中に印をつけることもできるので、苦手なフレーズに印をつけておくことで、効率的に学習を進めることができるでしょう。 - コツ④:過去の復習を並行して進める。
Unit.7できるようになったはずなのに、久しぶりにやったら全然ダメでした・・・
新しく取り組んでいるUnitほど、記憶が新鮮なので、うまくできるのは当たり前です。
定期的に過去クリアしたドリルの復習を行いましょう。
久しぶりにやってみると、「あれ、できない、、」という事態になって、テンションが下がるかもしれません。
安心してください。
それが普通です。復習を繰り返して、いつそのドリルに取り組んでもクリアできるレベルまで仕上げて行きましょう。
一度クリアしているドリルであれば、もう一度できるようになるまであまり時間はかからないはずです。
1冊終わってから、最初のUnitに戻ったら全然できなくて凹みました・・・
Eたろう「Unit.5まで終わったから、いったんUnit.1〜2の復習を入れよう」など、定期的に復習を入れていく方がいいですね。
こんな方にオススメ
- 文法を再学習したい初級者〜中級者の方
(基本的な文法は、文法の専門書で学習してから取り組む方が良いです。 ) - いつも同じ言い回しや文法ばかり使ってしまう方
- 時制のミスが目立つ方
- スピーキングにおいて、スパッと言いたいフレーズが出ない方
- 1回で聞き取りができない方
上記項目にピンとくる方は多いはずです。
実際、ほぼ全ての英語学習者にオススメできるテキストです。
上級者の方であっても、初級のドリルに苦戦する姿をよく見ます。
(慣れてきた後の対応能力は早いですが・・・)
実際に使った受講生さんの声
知っていたけど、会話で使えなかった文法を意識的に使えるようになりました!
リスニング力が上がったのは思わぬ副産物でした。
文法の説明が丁寧なので、ありがたい。
ずっと難しい…..けど力になるは間違いない。
音声中心に学習できるので、隙間時間に取り組みやすいです。
まとめ『英語のハノン』
今回は、『英語のハノン』について紹介しました。
- 知識としての英文法を会話でも使えるようにアクティブ化するのが狙い。
- 上級者でもまずは初級から取り組むのがオススメ。
- 文法の解説が丁寧で、たくさんの練習量をこなせる。
- リスニングの練習にもなる。
- まずは開本から始めて、最終的には「閉本+ナチュラル音声」のクリアを目指す。
- 難しいときは、意味を考えてみたり、音のチャンクを意識してみる。
- 復習含めて、何度も繰り返す!
根気の必要な教材ですが、やればやるほどスピーキングにおける表現の幅が広がっていくのを感じることができます。
英語において近道はありません。
英語のハノンを何度も何度も繰り返して、あなたの中に眠っている会話能力を呼び覚ましましょう!