こんにちは、Eたろうです。
今回は、「リピーティング」という学習方法について、解説します。
「リピーティング」は、シャドーイングのステップの一環として行うことが多い学習方法です。
また、リッスン&リピート音読とも近い学習方法なので、下記2つの記事も参考になります。
シャドーイングだと、一文ずつを丁寧に練習できない。
聞いた内容をすぐに忘れてしまう・・・
という方には、とくにオススメの学習方法です。
リピーティングとは
「リピーティング」とは、音声を聞いた後に、テキストを見ないで、同じフレーズを繰り返して声に出すという学習方法です。
一文単位や意味の切れ目など、短い単位で区切りながら繰り返すのがポイントです。
「リッスン&リピート音読」と「リピーティング」の違い
紛らわしいのが、「リピーティング」と「リッスン&リピート音読」の違いです。
そもそも、英語学習方法の用語に明確な定義がないのですが、以下の認識でOKです。
学習方法 | 英語のスクリプト | 繰り返す単位 |
---|---|---|
リピーティング | 見ないで発話 | 短い音声 |
リッスン&リピート音読 | 見ながら発話 | 短い音声 |
つまり、テキストを見るか見ないかの違いしかないわけです。
リピーティングの中の一種として「リッスン&リピート音読」があるくらいの認識でもOKです。
しかし、「テキストを見る」と「テキストを見ない」では、難易度にしても効果にしても大きな違いがあります。
この記事においては、「テキストを見ない」方をメインに解説しますので、「見る方」については以下の記事をご覧ください。
リピーティングの効果
効果1 短期記憶力の強化
リピーティングの効果として、リッスン&リピート音読やシャドーイングにない代表的なものが短期記憶力の強化です。
私たちが英語を聞くときには、以下のような順番で発話された内容を処理します。
1.音声知覚:”I ate apple” を[ aɪ eɪt ˈæpl ]という正しい音として認識
2.意味理解:”I ate apple”=「私はリンゴを食べた」と理解
3.短期記憶:「私はリンゴを食べた」という内容を一時的に覚える。
音声を聞いたあとに、何も見ないで内容を保持する必要のあるリピーティングは、短期記憶力を高めるうえで効果的です。
内容を一時的に覚えることで、次の会話へつなげることができます。
TOEICなどの試験では、音声を聞きながら問題を解く必要があるので、そんな時にも短期記憶は大切です。
効果2 スピーキング力の強化
リピーティングで発話するときには、一時的に覚えた内容を自力で再構築する必要があります。
必然的に、文法構造への意識が向きやすくなります。
これによって鍛えられるのが、英語の思考回路。
慣れてくると、リピーティングで練習した構文をスピーキングにも活かせるようになります。
リピーティングによるスピーキング力向上を狙った代表的な教材が『英語のハノン』です。
効果3 リスニングにおける意味理解の促進
リスニングにおける意味理解の促進も、リピーティングの効果の一つです。
シャドーイングにおいて、音声を追いかけていくことに精一杯になってしまう方でも、一文ずつのリピーティングであれば、意味にも意識を向けながら学習を進めることができます。
効果4 正しい発音やリズム、イントネーションが身に付く
リピーティングを重ねることで、正しい発音、リズム、イントネーションを身につけることができます。
音声を聞いてすぐに繰り返すリピーティングであれば、音声のリズムなどを頭に残したまま繰り返すことができます。
効果3、4については「リッスン&リピート音読」の効果としても紹介しています。テキストを見ない分、リピーティングの方が難易度は高いです。
リピーティングのやり方とポイント
リピーティングのやり方とポイントを解説します。
なお、私がオススメするシャドーイングのステップの中には、リピーティングを含めてご紹介しています。
詳しくはこちらの記事の、「シャドーイングのやり方を9ステップで解説」の「リピーティング」をご覧ください。
リピーティングについては、「テキストを見る前に行うリピーティング」と「テキストを見た後に行うリピーティング」という2パターンあると考えております。
以下ステップにおけるステップ2とステップ4がリピーティングのステップ、それ以外のステップはリピーティングをするにあたって必要な準備ステップです。
「テキストを見る前に行うリピーティング」は、どちらかと言うと上級者向けです。
初級者の方はこのパターンを飛ばしていただいても構いません。
まずは、シャドーイングのステップ1、2(リスニングとマンブリング)を進めていきましょう。
リスニング:全体の音声を聞いて、大まかな意味を把握する。
マンブリング:小声でつぶやきながら、音声を聞いて、うまく聞き取れないところを把握する。
一文ごとに音声を止めて、まったく同じように発話してみましょう。
一文ごとだと長すぎる場合は、意味の切れ目や音のチャンク(カタマリ)ごとに止めるのもOKです。
これを音声の最後まで繰り返します。
テキストを確認する前の段階なので、そもそも聞き取れていない箇所もあると思います。
口が回らない箇所も多々発生するでしょう。
「聞き取れていない箇所やうまく言えない箇所を把握する」こと自体が、この段階で行うリピーティングの大切な目的とも言えます。
英語のスクリプトを確認して、リピーティング時にうまく言えなかった箇所を重点的に分析していきます。
・音声変化があってうまくリピーティングできなかった。
・知らない単語が含まれていた。
・前置詞が含まれていたが、気づかなかった。
など、リピーティングできなかった箇所には、何かしらの理由があるはずです。
また、日本語訳を確認して、正しく意味を把握することで、リピーティングがしやすくなることもあります。
このタイミングで、苦手箇所はリッスン&リピート音読を入れるのがオススメです!
再び、テキストを見ないでリピーティングを行います。
テキストを確認して、リッスン&リピート音読などもやったあとなので、ステップ2段階でのリピーティングより数段取り組みやすいはずです。
苦手箇所含めて、すべてのフレーズがなめらかに言えるようになるまで繰り返しましょう。
それでも難しい箇所は、テキスト確認に戻って、リッスン&リピート音読から練習してみるのが良いです。
リピーティングのポイント
- ①正しい発音・リズム・イントネーションを意識する
-
リピーティングにおいて、すべての単語を言い切ることはとても大切です。
ただし、暗記に頼る結果、自分の頭の中の音のイメージが先行して、自己流発音に陥る方が多いので要注意です。
とくに、ステップ4でのリピーティングにおいては、テキストを見たあとで内容が頭に入っています。
すべての内容を暗記したとしても、音・リズム・イントネーションについては、お手本の音声を完コピしましょう。
- ②初心者と上級者では取り入れ方が異なる
-
テキストを見ないで繰り返しを行うリピーティングは、難易度の高い学習方法です。
初心者がいきなりやっても難しく感じて当然ですので、自分のレベルに応じた取り入れ方をしましょう。
先ほど解説したリピーティングのやり方における、ステップ2(テキストを見る前に行うリピーティング)は、どちらかと言うと上級者向けのやり方です。
もちろん、正しく聞き取れているかの確認のために、初級者の方も取り組んでいただいて構いません。
ただし、難しい学習方法をしているということは理解したうえで行い、うまくいかなくても落ち込まないでください。
難しすぎるようであれば、ステップ2を飛ばして、リッスン&リピート音読など⇨ステップ4(テキストを見たあとに行うリピーティング)という手順を踏んでいきましょう。
なぜ「リピーティング」で覚えられないのか
リピーティングをやろうとしても、覚えることができないんです。。
私が担当する受講生さんにリピーティングをやっていただいたときに、よく聞く悩みです。
上記で説明したとおり、リピーティングはリスニングのステップでも上位である「短期記憶」を使う学習方法です。
そもそも初心者の方の場合は、音声知覚と意味理解だけで精一杯のことが多いです。
音声知覚→意味理解→短期記憶の順番にエネルギーを使っていって、短期記憶の頃にはほとんどエネルギーが残っていないようなイメージですね。
このような場合は、まず「音声知覚」と「意味理解」を鍛えることを優先した方が良いです。
オススメはリッスン&リピート音読から取り組んでいくことです。
リッスン&リピート音読やシャドーイングに取り組んでみて、それがうまくできるようになってから、リピーティングに戻ってみましょう。
音声と意味が頭に入ってからであれば、リピーティングも楽にできるようになるはずです。
この意味から、初級者の方は、リピーティングをする場合でも、テキストを見たあとにやった方が良いのですね。
リピーティングはどんな人にオススメか
リピーティングがオススメなのは、以下のような方です。
・音を聞いた瞬間は意味を理解できるが、記憶に留めることができない方
・シャドーイングにおいて、自分の発話に意識が向かない方(発音を良くしたい方)
・シャドーイングをやっていると集中力が切れてくる方
・シャドーイングに慣れてきて、負荷を上げたトレーニングを取り入れたい方/
シャドーイングの苦手部分を補強するためにも使えるし、さらなるステップアップにも有効ですね!
シャドーイングをやっていて、マンネリ化してきたときの気分転換にもオススメですよ。
まとめ『リピーティング』
今回は、『リピーティング』について解説しました。
- 「リピーティング」とは、音声を聞いた後に、テキストを見ないで、同じフレーズを繰り返して声に出すという学習方法。
- とくにリスニングにおける短期記憶の強化に効果がある。
- 発話する際に、文法構造を意識することになるので、スピーキングの練習にも効果的。
- 「テキストを見る前に行うリピーティング」と「テキストを見たあとに行うリピーティング」の2種類がある。
- 初級者は、リッスン&リピート音読と組み合わせて練習する。
- シャドーイングに慣れた方が、集中力をキープして練習するためにも有効。
英語を聞いて、その内容をもとにスピーキングへ発展させていくためには、聞いた内容を一時的に記憶に留めておく必要があります。
リピーティングは、リスニングからスピーキングへつなげる橋渡しとしても有効な学習方法です。
取り組むとには、すべての単語をもれなく言い切ることはもちろん、発音、リズム、イントネーションを正しく真似ることを忘れないように取り組んでいきましょう!