こんにちは、Eたろうです。
この記事で紹介する教材は『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』です。
英語リーディング教本シリーズは複数の種類がありますが、表紙が黄色いもので、よく『黄リー教』と呼ばれます。
本書を読み通すことで、「品詞と働きと活用の相互関係」を身につけることができ、英文を「本当に正しく」読めるようになります。
このブログでは、リスニングとスピーキングに関する書籍を取り上げることが多いのですが、「リーディング?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
そう、リーディング能力を鍛えたい方ばかりではなく、リスニング、スピーキング、ライティング・・・英語4技能すべてに効果絶大なのが本書です。
実際、私が担当するリスニング&スピーキング力をアップさせたい受講生さんにもオススメして、大変好評をいただいております。
しかもすごいのは、初級者でも上級者でも、レベル問わず全員に学びがあること。
私自身、「今まで”なんとなく”英文を読んでいたんだな」というのを痛感しました。
今まで、「普通に」英語を学んできた日本人であれば、初級者、上級者関係なく、99%刺さるのが本書でしょう。
分厚く、骨の折れる本ではありますが、読み通した後の効果は保証しますので、地道にコツコツ継続して、「一生使えるスキル」を手に入れましょう!
分厚い本ですが、読み物としても楽しい1冊です。SNS上では、「黄リー教を楽しむ会」なるグループが存在するほどです。
このブログで紹介する教材は、私が自分の担当する受講生に実際に使っていただいているものばかりです。 実際に使ってわかった「教材の特徴」や「こんな人に向いている」というリアルな情報をお伝えします。
この記事を読むことで、教材の概要や使い方を理解し、正しく最短な方法で学習を進めていくことができるようになるでしょう。
『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』基本情報
タイトル | 基本文法から学ぶ 英語リーディング教本 |
出版社 | 株式会社 研究社 |
著者 | 薬袋 善郎(みない よしろう) |
発行日 | 2021年11月30日 |
総ページ数 | 488 |
学習科目 | リーディング・文法 |
難易度 | 初級者〜上級者 |
『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』の構成
20のLessonで構成されています。
Lesson1「4つの品詞」では、「名詞とは何か?」というレベルからスタートします。
際立った特徴として、著者の薬袋先生が強調しているのが、
新しく勉強する英文は、それまでに勉強したことを理解していれば、そこの解説だけで完全に理解できる
基本文法から学ぶ 英語リーディング教本|薬袋 善郎
という点です。
例えば、Lesson7「進行形」→Lesson8「受身」→Lesson9「完了」という並びの中で、Lesson7「進行形」で学ぶ英文には受身や完了が含まれません。
丁寧に前のLessonから順番に読んでいけば、モヤモヤを残すことなく進めていける構成になっているわけですね!
この構成上、薬袋先生は「勝手に飛ばさない」ことも推奨しています。
例え上級者であっても「形容詞とは何ですか?」という質問に即答できる人は少ないはずです
まずは、本書の説明どおり頭から読み飛ばさず丁寧に進めていくのが一番でしょう。
各Lessonは、「解説」→(ところどころに「質問」)→「問題」という流れで進みます。
解説をきちんと理解して、赤字で書かれた部分は正しく暗記したら「質問」に答えます。
この質問はあなたの妥協を許しません。
例えば、以下のような質問が載っています。
1.ingの可能性は?
2.裸のingの可能性は?
3.着物を着ているingの可能性は?
4.現在分詞の可能性は?
5.裸の現在分詞の可能性は?
6.着物を着ている現在分詞の可能性は?
7.着物を着ている動名詞の可能性は?
8.ing形の動詞が着る着物は?
問題はこんなかんじ。
What are you doing now?
(1)助動詞の下にauxと記入し、それが何形か(現在形、過去形のどちらか)を答えなさい(be助動詞は学校文法で捉えなさい)。
(2)動詞が何形かを答え、番号(①②③④⑤)を記入しなさい(動詞は学校文法で捉えなさい)。
(3)S・O・aC・nCを記入しなさい。
(4)修飾する働きをしている語は品詞と矢印を記入しなさい。
(5)前置詞+名詞は下線を引き、そこに品詞と働きを記入しなさい。
(6)英文全体を日本語に訳しなさい。
今初見の方は???だと思います。
慣れてくると、この程度は序の口です
全ての質問、問題に寝起きでもスラスラと答えることができるようになって初めて、黄リー教を制覇したと言えるでしょう。
『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』の特徴
本書の特徴は、「品詞と働きと活用の相互関係」について、徹底的に説明をしている点。
そして、徹底的であるがゆえに、説明がしつこいところにあります。
目標は「品詞と働きと活用の相互関係」を身につけること
『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』の目標は、「品詞と働きと活用の相互関係」を身につけることです。
そもそも、「品詞と働きと活用の相互関係とはなんぞや」という話ですよね。
「品詞と働きと活用の相互関係」を理解した状態の反対が、「丸暗記と勘に頼ったフィーリング英語」です。
例を示します。
“Masuo invited to the party sang some Christmas songs.”
というセンテンスを見たときに、英語を理解している人であれば、 以下のように読みます。
Masuo (invited to the party)/ sang some Christmas songs.
“invited to the party”の”invited”は過去分詞で、Masuoにかかっているんですよね。
/までは”invited” を過去形と認識していたとしても、”sang”を見た瞬間、「sang=述語動詞」と気づき、即座に読み方を変えることができるのです。
日本語訳は「そのパーティーに招待されたますおは、クリスマスソングを歌った。」です。
「品詞と働きと活用の相互関係」を理解した人は、これが自然にできます。
一方、「 丸暗記と勘のフィーリング英語」に頼ってしまっている人は、”invited” を過去形と認識したまま、
ますおが(誰かを)パーティに招待して、クリスマスソングを歌ったんだな。
と考えてしまうかもしれません。
これは、自分の良いように英文を解釈しているだけで、正しく読めているとは言えませんよね。
これこそまさに、「 丸暗記と勘のフィーリング英語」です。
本書を読み通すことで、「 丸暗記と勘のフィーリング英語」から脱却し、正しく英文を読めるようになります。
「品詞と働きと活用の相互関係」を身につけることは、英語の骨格を学ぶことです。
この力が身につくと、リーディングはもちろん、リスニング、スピーキング、ライティングを含めた「英語4技能」の能力向上につながるでしょう。
大学受験、TOEIC、英検などあらゆる資格試験対策の土台づくりとしてもオススメです!
説明がしつこい。
本書は、「これから英語をはじめる人」でもわかるように解説されています
よって、「中学で普通に習うこと」も含めて説明されており、良く言えば「超丁寧」、悪く言えば「超しつこい」構成になっています。
よくある参考書だと、セクション1で習った内容は、セクション2においては省いて説明しますよね
一方、黄リー教においては、過去学んだ内容が何度も何度も登場します。
これによって、一度学んだ内容を何度も復習せざるを得ない状態になるので、読み進めるほど過去の内容が定着していきます。
その構成上、小さな文字がズラ〜っと並んだ見た目となっていて、勉強が嫌いな人は嫌悪感を感じるかもしれません。
私が担当する受講生さんでも、「説明が細かすぎて嫌になってきました」という方がいらっしゃいました。
「これから英語をはじめる人」は英語の学習に苦手意識がある場合が多いはずです。
「これから英語をはじめる人でもOK!」と言いながら、そんな方が挫折せずに続けていくのは少し大変かもしれません。
・・・
ただ、個人的には、この構成大好きです。
「あれっ?説明がないな。この内容どこに書いてあったっけ?」と、前の内容を見返すことが少ないのでストレスになりません。
薬袋先生自身、「挫折してよい」と書いています。
1度や2度挫折したとしても良いのです。
一度読んだ内容は、記憶が薄れたとしても、完全に消えることはありません。
挫折を繰り返したとしても、最終的にこの本を読み通すことができれば、一生モノの知識としてあなたの英語力を支えてくれます。
「あ〜なんか嫌になってきたな。。。」と感じたときには、「挫折してよい」という言葉を思い出すと、少しだけ前向きに続けていけるかもしれませんね。
『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』の効果的な使い方
『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』のオススメの進め方は、とにかく丁寧に読んでいくことに尽きます。
飛ばさずにきちんと解説を読んで、質問にはすべてきちんと解答しましょう。
問題は、頭の中で解くのではなく、きちんと紙とペンを使って解くのが一番です。
そして、何周も繰り返しましょう。
余程の天才でない限り、この本の内容を1周で理解するのは不可能です。
上記で「説明がしつこい」と書いたとおり、この分厚い本を読み進めていくのは非常に骨が折れますが、それ相応のリターンがありますので、習慣的に続けましょう。
それは大前提として、サブテキスト、もしくは英語のハノンと併用する進め方をご紹介します。
サブテキストを活用する。
黄リー教には、サブテキストが2冊存在します。 両者、黄リー教本体と比べてコンパクトなので、持ち運びもしやすいです。
① 基本文法から学ぶ 英語リーディング教本 徹底反復練習
② 基本文法から学ぶ 英語リーディング教本 実践演習
『徹底反復練習』においては、黄リー教の内容(質問&問題)を一問一答形式で練習することができます。
左ページに問、右ページに解答、という構成になっていて、黄リー教本体よりも進めやすいです。
これをスラスラ解答できるようになると、黄リー教の内容が”使える知識”として定着するでしょう。
薬袋先生の言葉を借りると“スラ練”というやつです。
『実践演習』においては、黄リー教で身につけた技術を、新規の英文を使って練習することができます。
すべての英文に構造図がついているので、黄リー教の理解度をさらに高めることができます。
サブテキストは2冊とも、黄リー教と同時に進めることが推奨されています。(実践演習は黄リー教読了後も可)
黄リー教+サブテキスト2冊を並行して進めることで、最大効率で黄リー教を学ぶことができるでしょう。
『英語のハノン』と併用する。
黄リー教と非常に相性の良いテキストが『英語のハノン』です。
『英語のハノン』は、「学校で習った英文法をスピーキングで使える知識に変える」ことがメインテーマのテキスト。
英文法の説明が、丁寧に記載されています。
ただ、分厚い黄リー教に比べると簡潔に書いてあるので、黄リー教とハノンを並行して使用することで、
ハノンの説明の足りないところを黄リー教で補足⇨黄リー教のしつこい説明をハノンで簡潔に復習
という流れを作ることができます。
黄リー教はリーディングのテキストですが、ここで学べる知識は必ずスピーキングにも活かせます。
ハノンと併用して使うことで、黄リー教で学んだ知識をスピーキングでも使える実践力に変えていきましょう!
『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』はこんな方にオススメ
黄リー教のすごいところは、初級者はもちろん上級者でも学びがあることです。
黄リー教を読んで「こんなの当たり前じゃん」となる方は・・・まずいないと思います。
つまり、英語学習者全員にオススメなわけですが、とくにこんな方にオススメというのを紹介していきます。
英語の再学習を始めたばかりの大人
黄リー教は、初めて英語を学ぶ中学生でもわかることを想定して書かれています。
黄リー教を読んでみて、「こんな本に中学生の頃に出会えていれば・・・」と今の中学生が羨ましくなりました。
ただ、中学生当時この本に出会っていても、この内容を読み進める気力もやる気もなかっただろうなと思います。
仮に読み進めていても、理解できていたかどうか・・・。
そう考えると、英語の再学習を始めたばかりの大人にとって、とても良い本なのではないでしょうか。
学生時代にある程度英語を学んだ方であれば、その復習になります。
一方、学生時代英語が苦手だった方でも、大人になった今なら違う角度から英語を学び直せるでしょう。
黄リー教は読み物としても楽しいので、大人になってから読むと、中学生のころとは感覚が違ってくるはずです。
文法を学び直す場合は、『キク英文法』など、基本的な文法書を手元に置いて、都度参照しながら進めるのもオススメです。
伸び悩みを感じる上級者
英語上級者の方で、「聞く」「話す」「読む」「書く」のどれかで伸び悩みを感じている方にもオススメできます。
上級者であっても、「品詞と働きと活用の相互関係」を理解し、本当に正しく英語を使えている人は少ないからです。
特に留学経験があったり、海外ドラマ・映画で英語を学んできた方は”感覚”で英語を理解している可能性が高く、そのような方には強くオススメできます。
本書で1から学び直すことで、読解力が高まるのはもちろん、会話や記述においても、より自然な英語を流暢に使えるようになるはずです。
騙されたと思って、最初のページから丁寧に進めてみてください。
「ある程度の知識がある上級者は青いリーディング教本から」という意見も見かけますが・・・
個人的には「全然黄色からでいい」、いや、「黄色からの方がいい」と思います。
TOEICの得点を上げたい方
黄リー教は、TOEICの得点を上げたい方にも効果的です。
文章構造の理解力が高まり、リーディングパートの得点アップに絶大な効果を発揮するでしょう。
ただ、2ヶ月後までに100点アップしたい!など、短期間での得点アップを狙っている方にはオススメできないかもしれません。
とりあえずスコアだけ欲しい方はTOEIC専門の参考書で対策するのが一番の近道です。
現在400点だけど、1年後には900点を取得したい!
というような、長期的な視点でTOEICの得点アップを狙っている方は、ぜひ黄リー教を手に取りましょう。
また、「800点から900に上げる」などの高いレベルで得点アップを狙っている方にもオススメです。
(900の壁は予想以上に高いので)
TOEIC対策本だけを駆使して取った900点よりも、きちんと黄リー教で根本から対策して取った900点の方が価値があると思います。
TOEICだけに限らず、一生使っていける「本物の英語力」を駆使して取得した点数だからですね!
洋書を読みたい方(多読で伸び悩みを感じている方)
私の経験では、洋書を読むときに黄リー教の効果を強く感じました。
曖昧に読み進めていた箇所が激減し、きちんと根拠を持って意味を捉えられるようになったのです。
多読はとても効果的な学習方法として知られていますが、それに黄リー教をプラスすることで、確かな相乗効果を生んでくれます。
毎日多読をしているけれど、伸び悩みを感じている方が、その状況を打開するための一つのきっかけになるのではないでしょうか。
商品パッケージにも、「誰でも原書が読めるようになる究極の1冊」と載っていて、この部分をアピールしていますね。
実際に使った受講生さんの声
今まで自分はなんとなく英語を読んでいたんだなと気づきました。
根気のいる本ですが、読み進めるのは楽しいです。
一つ一つの問題をちゃんと紙に書き出して練習することが大事だなと感じます。
スピーキングのときに自分が使う文法に、今まで以上に意識が向くようになりました。
TOEICのリーディング理解力が明らかに上がりました。
英語のハノンをメインに進めながら、詳しい解説がほしいときにリー教を参照しています。疑問が残らないので、几帳面な私の性格にあっています。
『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』の誤植について
最後に、黄リー教唯一の欠点と言っていい、誤植についてです。
最近出版されたものであれば大丈夫ですが、私が持っている初版については大量の誤植がありました。
こちらに訂正表も出ています。 影響の大きい誤植はほぼなかったのですが、購入される際は、中古ではなく、新品を買うことをオススメします。
まとめ『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』
今回は、『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』について紹介しました。
- 「品詞と働きと活用の相互関係」を身につけることができ、英文を「本当に正しく」読めるようになる。
- リーディング以外の技能(リスニング、スピーキング、ライティング)にも役立つ。
- 説明がしつこいが、その分疑問は残らない構成になっている。
- サブテキストや英語のハノンと並行して取り組むと効果が大きい。
- 初級者から上級者まで、英語学習者誰もに読んでほしい内容。
- TOEIC対策にもオススメ。
実際に本屋さんで実物を手にすると「デカいな、文字小さいな・・・」と少し引いてしまうかもしれません。
黄リー教は、数日で理解できるものではありません。
時間をかけて、1日1ページでも2ページでも読み進めていけば、一生モノの知識があなたのものになります。
根気のいる本ですが、強く推薦しますので、是非とも手にとってみましょう。
挫折しても良いのです。
続けていきましょう!